日本で観光中に仕事を始めることを検討している方にとって、最も重要なことは、適切な在留資格を取得することです。短期滞在ビザ(観光ビザ)では、原則として就労が禁止されており、違反すると厳しい罰則が科せられることがあります。この記事では、日本で観光中に合法的に仕事を始めるために必要な手順や、ビザの種類、注意すべきポイントについて詳しく解説します。観光から就労へのステップを踏む際のガイドとしてお役立てください。
●原則、観光客は日本では就労不可
「短期滞在ビザ」について
日本を訪れる観光客が持つ「短期滞在ビザ」では、就労は認められていません。観光を目的としたビザでの滞在中に仕事を行うことは、原則として法律に反する行為です。日本で合法的に働くためには、適切な在留資格を取得する必要があります。
短期滞在から就労ビザへの切り替え手続き
観光中に就労ビザへ切り替えることは基本的に難しいですが、特定の条件を満たす場合は可能です。例えば、雇用先が見つかり、雇用契約が結ばれた場合、適切なビザ申請手続きが行われることがあります。具体的な手順としては、まず入国管理局で手続きを行い、その後必要な書類を提出して審査を受けます。
在留資格と必要なビザの種類
日本で働くためには、適切な在留資格を取得することが必須です。代表的な就労ビザには「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などがあります。どの職種に従事するかによって、取得するビザの種類が異なり、求められる要件も変わります。
●短期滞在ビザで就労した場合の罰則
短期滞在ビザで日本国内での就労が発覚した場合、以下のような厳しい罰則が科せられる可能性があります。
1. 強制退去(強制送還)
不法就労が確認されると、入国管理局によって強制的に日本から退去させられる可能性があります。強制退去処分を受けた場合、一定期間日本への再入国が禁止されることが一般的です。
2. 再入国禁止措置
強制送還された場合、多くの場合は最長5年間、日本への再入国が禁止されます。悪質なケースでは、それ以上の再入国禁止期間が科されることもあります。
3. 罰金または懲役
不法就労は日本の法律において犯罪と見なされます。発覚すると、30万円以下の罰金または3年以下の懲役が科せられることがあります。罰則の重さは、不法就労の期間や内容によって異なります。
4. 雇用主への罰則
不法就労を行っていた外国人を雇用した事業者にも罰則が適用されます。雇用主は、不法就労助長罪に問われ、300万円以下の罰金や3年以下の懲役が科されることがあります。企業には社会的信用の低下や営業停止などの重大な影響が及ぶこともあります。
●短期滞在ビザからそのまま就労できた具体例
企業が就労ビザのサポートを行い就労ビザに切り替えたケース
Aさんのケース
Aさんは、短期滞在ビザ(観光ビザ)で日本に観光目的で来日しました。滞在中に、日本国内でビジネスを展開する企業と面接する機会があり、その結果、就職のオファーを受けました。Aさんが契約した企業は、Aさんの雇用に必要な書類を準備し、すぐに入国管理局に「在留資格認定証明書(COE)」を申請しました。
その後、在留資格認定証明書が発行されたため、Aさんは一旦日本を出国し、自国にある日本大使館で正式に就労ビザを申請しました。ビザが発行されると、Aさんは再び日本に入国し、正式に就労ビザを取得した状態で日本での仕事を開始しました。この場合、Aさんは「短期滞在ビザ」での就労は行っておらず、観光中に就職活動を行い、正規の手続きで就労ビザに切り替えたことで、合法的に日本での就労が可能になったケースです。
ポイント
このように、短期滞在ビザでの不法就労は避け、正規のビザ申請手続きを経てから働くことが可能です。ただし、ビザ申請のプロセスや審査に時間がかかることがあるため、計画的に進めることが重要です。
IT企業での内定を受けビザを切り替えたケース
Bさんのケース
Bさんは、短期滞在ビザで来日し、日本での技術系イベントに参加していました。Bさんは以前から日本のIT業界に興味を持っており、イベント中に日本のIT企業の採用担当者と接点を持ちました。イベント後、その企業と何度かオンラインでの面談を重ねた結果、内定を受けました。
その後、企業がBさんのために「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請するための手続きを行いました。Bさんは日本に滞在していた期間中に申請手続きを進めましたが、審査が長引いたため、一度自国に戻って申請を完了させました。最終的に、ビザが発行され、再び日本に戻り、IT企業での就労を開始しました。
ポイント
Bさんは、短期滞在中に積極的にネットワーキングを行い、内定を獲得しました。しかし、日本国内での手続きが完了する前に一度出国し、正式な就労ビザを取得するという正規のルートを踏んでいます。このように、短期滞在中に雇用先を見つけ、就労ビザを取得することが可能ですが、プロセスには時間がかかることが多いです。
教育機関でのポジションに就きビザを切り替えたケース
Cさんのケース
Cさんは短期滞在ビザで日本に観光目的で来ていましたが、日本で働く機会を探していました。滞在中、偶然にも日本国内の語学学校で講師の募集を見つけ、その学校に応募しました。Cさんは英語を母国語とし、教育に関する資格も持っていたため、語学学校からすぐに採用内定を得ました。
その後、語学学校はCさんのために「教育」の在留資格を申請しました。在留資格認定証明書(COE)が発行されるまでに時間がかかったため、Cさんは観光ビザの期限が切れる前に一度自国に帰国しました。帰国後、地元の日本大使館で正式に就労ビザを申請し、取得したビザを持って再び日本に入国しました。その後、Cさんは語学学校で英語講師としての仕事を開始しました。
ポイント
Cさんのケースも、短期滞在中に雇用先を見つけ、その後正規のビザに切り替えた一例です。教育分野では、日本語能力が求められない場合もあるため、Cさんのように特定のスキルを持つ外国人が採用されるケースは少なくありません。
●就労ビザを取得するための条件と方法
雇用契約とビザの審査基準
ビザ審査の際、雇用契約が重要な役割を果たします。契約内容が明確であり、日本の労働法に則ったものであるかどうかが審査基準の一つです。また、申請者が就労ビザの要件を満たしているかどうかも厳しくチェックされます。
ビザ申請中の注意点とトラブル対策
ビザ申請中は、書類の不備や提出期限の遅れがトラブルの原因となることが多いです。また、申請が却下された場合の再申請の準備や、雇用先との連携をスムーズに行うことも重要です。常に正確な情報を把握し、専門家の助言を得ることが推奨されます。
●「短期滞在ビザ」から就労ビザ取得までのプロセス
- ①就職先を見つける
- ②在留資格認定証明書の申請
- ③在留資格認定証明書の発行と受け取り
- ④就労ビザの申請と取得
- ⑤日本へ再入国
1. 就職先を見つける
まず、日本で働くためには雇用先を見つけることが重要です。雇用先は、日本の入国管理局で申請を行うためのサポートを行います。雇用契約が結ばれた時点で、就労ビザの申請が可能になります。
2. 在留資格認定証明書の申請
雇用先が決まった後、雇用主は「在留資格認定証明書」(COE: Certificate of Eligibility)を入国管理局に申請します。この証明書は、申請者が日本で働くための適切な資格を持っていることを証明する書類です。
3. 在留資格認定証明書の発行と受け取り
在留資格認定証明書が発行されると、申請者はその証明書を受け取り、自国にある日本大使館または領事館で就労ビザの申請を行います。この時点で、日本国内からの直接の切り替えは難しいため、一度出国して申請を完了させるケースが多いです。
4. 就労ビザの申請と取得
在留資格認定証明書を取得したら、次にその証明書を基に、最寄りの日本大使館や領事館で就労ビザを申請します。申請には、パスポートや雇用契約書などの必要書類を提出します。審査が通れば、正式に就労ビザが発行され、日本での就労が認められます。
5. 日本へ再入国
就労ビザが発行されたら、日本に再入国し、ビザに記載された在留資格の範囲内で働くことができます。入国時には、パスポートと就労ビザを提示し、正式に入国手続きを行います。
●日本での就職活動と求人の探し方
ハローワークや転職エージェントの活用法
日本での就職活動を効率的に進めるためには、ハローワークや転職エージェントの利用が有効です。これらの機関は、外国人向けの求人情報を提供しており、専門的なサポートも受けられます。また、オンラインでの求人サイトも積極的に活用すると良いでしょう。
日本で働くための履歴書の準備と作成ポイント
日本では、履歴書の形式が他国とは異なる場合があります。氏名や住所の記載方法、学歴や職歴の書き方、さらには写真の貼り付けが求められるなど、細かなルールがあります。正しい形式に従った履歴書の作成が、就職活動成功のカギとなります。
●まとめ
日本で観光中に仕事を始めるためには、適切な在留資格を取得することが最も重要です。観光ビザでは就労が禁止されているため、就労ビザへの切り替えが必要となります。プロセスとしては、まず就職先を見つけ、雇用主が在留資格認定証明書を申請し、発行後に正式な就労ビザを取得する流れとなります。これらの手続きには時間と準備が必要であり、計画的に進めることが成功へのカギとなります。
●行政書士DNR事務所では
日本で観光中に仕事を始めるためには、ビザの切り替えや在留資格の取得など、複雑な手続きが必要です。これらのプロセスには専門的な知識が求められ、誤りがあると申請が却下されるリスクもあります。
当事務所では、外国人のビザ申請や在留資格の取得に関する豊富な経験を持つ行政書士が、スムーズに手続きを進めるためのサポートを提供しています。
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