中国人が500万円で実現している経営管理ビザと医療タダ乗り ブローカーの暗躍

外国人問題

経営管理ビザは、日本で事業を行う外国人にとって重要な在留資格であり、日本の経済発展にも貢献する仕組みです。しかし近年、一部の不正利用が問題視されています。私たちは、実態のないビザ申請や制度の悪用に断固反対する立場を取っています。この記事では、経営管理ビザの基本的な仕組み、増加する取得者数、そして公的医療保険制度の悪用について深掘りしていきます。

経営管理ビザの概要

経営管理ビザは、日本国内で新たな事業を立ち上げる外国人、または既存の事業を管理する外国人が取得できる在留資格です。取得には以下の条件が必要です。

  • 事業計画書の提出:具体的かつ現実的な事業計画であることが求められます。
  • 最低投資額500万円:ビザ申請者は最低500万円以上の投資が必要です。
  • 事業所の確保:日本国内に実際の事業拠点を構えることが条件となっています。

この資格は、日本経済に対する外国人の貢献を促進するために設けられていますが、あくまで適正な運用が前提です。そのため、申請内容に誤りがないか、審査が厳格に行われます。

急増する経営管理ビザの取得者

出入国在留管理庁(入管)のデータによれば、経営管理ビザを持つ外国人は2018年時点で2万5670人でしたが、2022年末には3万1808人にまで増加しました。この4年間で2割以上の増加が見られ、取得者の半数近くが中国籍の人々です。

この増加には、日本国内で事業を行う外国人が増えていることや、日本が外国人投資家を歓迎する政策を進めている背景があります。しかし、その一方で、適切にビザを利用しないケースや不正行為が懸念されています。

医療保険制度の悪用事例

特に問題視されるのが、公的医療保険制度の悪用です。以下にいくつかの具体例を挙げます。

国保への加入と高額療養費制度の悪用

経営管理ビザを取得した外国人が国民健康保険(国保)に加入し、高額な医療サービスを受けた後、「高額療養費制度」を利用して、医療費の一部を還付されるケースがあります。この仕組みは、日本国内で生活し、保険料を負担している人々を守るためのものですが、ビザ取得後に医療費の返還を受けてすぐ帰国する事例が報告されています。このような行為は、日本の医療制度の根幹を揺るがします。

保険料の未払い問題

保険料を支払わないまま帰国するケースも発生しています。これにより、保険制度の財政に負担がかかるだけでなく、制度そのものの信頼性が損なわれます。

第三者のカルテを使った不正


過去には、中国人観光客が日本の病院で処方箋を不正に入手するケースが明らかになっています。ある日本人男性の証言によれば、「訪日中の中国人から『この薬が欲しい』と頼まれ、病院に連れて行き、第三者のカルテを使って処方箋を得た」とのことです。このような行為は、医療機関や保険制度に多大な損害を与えるだけでなく、日本人の信頼を裏切る行為として許されるべきではありません。

制度悪用の背景

このような不正行為が起こる背景には、ビザ制度と医療保険制度の隙間を突いた悪意ある行為があると考えられます。特に経営管理ビザは、一定の条件を満たせば比較的取得しやすい側面がありますが、申請者の事業が実態を伴わない場合や、経営目的を偽るケースが後を絶ちません。また、公的医療保険制度が外国人にも開かれている一方で、運用における厳格さが不十分である点も課題です。

ブローカーの暗躍

経営管理ビザの取得を巡っては、一部の悪質なブローカーが暗躍している実態があります。これらのブローカーは、ビザ申請希望者に対し「簡単にビザが取れる」「事業の実態がなくても問題ない」などと虚偽の情報を伝え、高額な手数料を要求するケースが報告されています。

架空の事業計画書の作成


悪質なブローカーは、申請者が実際に日本で事業を行う意思がないにもかかわらず、架空の事業計画書を作成し、審査を通過させようとします。また、必要書類を偽造し、事業実態があるように装う手口も確認されています。

名義貸しによる不正取得


実際に経営を行う意思のない申請者が、日本国内の第三者の名義を借りてビザを取得する手法も存在します。この場合、申請者はビザ取得後に経営を放棄し、日本に滞在するためだけにビザを利用することになります。

高額な手数料と経済的搾取


ブローカーは「確実にビザを取得できる」などと謳い、数百万円単位の手数料を請求することがあります。しかし、実際には適正な申請が行われておらず、審査が通らなかったり、ビザ取得後に不法行為が発覚し、強制退去となる事例もあります。結果として、申請者が大きな経済的損失を被ることになります。

摘発の強化と適正な支援の重要性


日本の入管当局は近年、このようなブローカーによる不正を厳しく取り締まっています。違法なビザ取得を斡旋したブローカーや、それに関与した申請者には厳しい処罰が科されることもあります。


行政書士としては、こうした違法なブローカーの存在を認識し、適正な手続きを通じて誠実な申請者を支援することが求められます。また、ビザ取得を考える外国人に対しても、不正に関与しないよう啓発を行い、日本での適法なビジネス展開をサポートすることが重要です。

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行政書士としての責務

こうした状況の中で、私たち行政書士には重要な責任があります。ビザ申請においては、法令に基づき、誠実かつ正確な手続きが求められます。経営管理ビザは、日本経済への貢献が前提であるため、虚偽の申請や制度の悪用が行われないよう、徹底したサポートを提供することが必要です。

また、不正行為を防止するためには、制度の厳格な運用とともに、社会全体での監視と協力が不可欠です。行政書士としては、適正な申請をサポートするだけでなく、不正を見抜き、必要に応じて適切な指導を行うことが求められています。

筆者の考え:制度の見直しと厳格化が必要

現在の経営管理ビザの最低投資額500万円は、日本で本格的に事業を運営するには低すぎる水準です。このため、形式的に事業を立ち上げるだけで実態のない申請が増え、不正利用の温床となっています。

1. 資本金要件を2,500万円に引き上げるべき

500万円という金額は、日本の経済環境において小規模な事業を始めるには十分かもしれませんが、本当に日本で長期的にビジネスを行う意思があるかどうかを判断する基準としては不十分です。現状では、ブローカーが架空の会社を設立し、形式的に500万円を動かして申請を通す事例も報告されています。

そのため、資本金要件を2,500万円に引き上げることで、本当に経営を目的とした申請者のみを受け入れる体制を強化すべきです。これにより、一時的な滞在目的や医療制度の悪用を狙う不正な申請者を減らし、日本経済に真に貢献する事業家のみを受け入れることが可能になります。

2. 不正取得に対する厳罰化

現在の経営管理ビザの審査は、厳格化されつつあるものの、依然として制度の隙を突いた不正申請が後を絶ちません。そのため、以下のような厳罰化を行うべきです。

  • 虚偽の事業計画で申請した場合の罰則強化(現在の罰則よりも重い罰金刑や長期の在留禁止措置)
  • ブローカーの取り締まり強化と処罰の明確化(違法なビザ取得の斡旋には厳しい刑事罰を適用)
  • 不正が発覚した場合の即時ビザ取消・退去命令(現行法よりも迅速な対応を可能にする法整備)

日本の経済を健全に発展させるためには、適正な外国人投資家を歓迎する一方で、不正を防ぐための厳格な制度運用が不可欠です。資本金要件の引き上げと罰則の強化によって、経営管理ビザの健全な運用を守ることができるでしょう。