荒川区では国民健康保険(国保)の加入世帯のうち20.4%が外国人世帯です。これは全国平均と比べても外国人居住者の割合が高いエリアであり、さまざまな背景を持つ外国人が居住している地域です。国保は日本に居住する全ての人が加入すべき制度であり、医療保障という観点から重要な役割を果たしています。しかし、現状では外国人世帯の保険料滞納問題が深刻化している状況が見られます。
滞納率に見る国別の傾向
当事務所がある荒川区のデータによると、国別の滞納世帯割合には顕著な差があります。例えば、ウズベキスタン国籍の世帯では滞納率が76.92%に上り、非常に高い数字となっています。ミャンマー(57.33%)、ネパール(62.68%)、ベトナム(50.78%)も滞納率が特に高い国籍の一例です。
一方、世帯全体の滞納金額の割合を見ると、ネパール国籍の世帯が全体の約11.78%を占めています。これに対して、ウズベキスタンやフィリピンは滞納世帯割合が高くても、世帯数が少ないため滞納金額自体は小さいという特徴があります。

外国人滞納の背景要因
外国人が保険料を滞納する理由には、以下のような事情が考えられます。
- 経済的な困難:
日本での生活費が高く、十分な収入を得られないケースが多いです。特に技能実習生や低賃金の労働者は保険料支払いが負担となります。 - 制度の理解不足:
日本の医療保険制度について十分に理解していないケースも見られます。「未納でも問題ない」と誤解することも原因の一つです。 - 一時的な居住:
外国人が短期間で日本を離れる場合、保険料支払いの優先度が低くなる傾向があります。
滞納の影響と問題点
① ビザ更新への影響
国保の滞納はビザの更新にも重大な影響を与える可能性があります。近年、入管法の厳格化により、国民健康保険の支払い状況がビザ更新の審査項目として重視されるようになりました。未納状態が続くと、「在留資格の更新が許可されない」または「短期ビザへの変更」を求められるリスクがあります。
② 未納金回収の困難性
外国人が母国へ帰国した場合、未納保険料の回収は実質不可能です。自治体が請求を行っても、法的拘束力がないため支払いを強制する手段がありません。このため、帰国した外国人による未納金が自治体財政に悪影響を与えることも問題視されています。

解決策の検討
① 外国人への情報提供強化
保険制度の理解不足が滞納の一因であるため、多言語対応の情報提供が重要です。具体的には、保険制度や支払い義務について説明するパンフレットをベトナム語、ネパール語、ウズベク語など主要言語で作成し、加入時に配布します。また、自治体が外国人労働者を雇用する企業に協力を依頼し、企業単位で説明会を開催することも有効です。さらに、LINEやSNSを活用した多言語でのリマインド通知による支払案内も効果的でしょう。
② 支払い支援制度の整備
経済的困難な外国人世帯に対し、保険料の分割支払いや減免措置の適用を積極的に行う制度整備が必要です。現在は窓口で相談が必要ですが、オンライン申請や事前自動判定システムを導入し、支援手続きの簡素化を図るべきです。また、自治体が個別に経済状況を確認し、柔軟な支払プランを提案できる体制を強化することも有効です。
③ ビザ更新条件の見直しと緩和
滞納によってビザが更新できなくなるケースは生活基盤をさらに悪化させるリスクがあります。滞納理由が経済的困難である場合、一定の返済計画を条件にビザ更新を認める柔軟な対応が必要です。自治体と入管が連携し、返済支援プログラムを導入することで、滞納者の救済策を作ることが望まれます。
④国際連携による徴収制度の導入
一部の外国人が帰国後に未納金を残す問題については、母国政府と連携して保険料徴収の仕組みを構築することが有効です。例えば、滞納者リストを母国の税務機関と共有し、税金と併せて保険料を徴収する方法などが検討されるべきです。
まとめ
荒川区における外国人の国民健康保険滞納問題は、地域だけでなく日本全体に影響を及ぼしかねない課題です。特に帰国後の未納金問題やビザ更新への影響など、自治体や政府が積極的な対応策を講じる必要があります。
筆者の考え
この問題を解決するための一案として、外国人専用の保険組織を設立し、自主運営による仕組みを導入すべきだと考えます。現在の国民健康保険組合は、日本国民と外国人が共通の枠組みで運営されていますが、両者の生活状況や滞在期間、経済事情が異なるため、一元的な制度では対応が難しい側面があります。
外国人自身が主体となって保険料の運営や管理を行うことで、制度の理解が深まり、支払い意識の向上や未納問題の抑制が期待されます。また、各国の特性を考慮した柔軟な制度設計が可能となり、より効果的な支援が実現できるでしょう。この新たな仕組みは、日本国内での滞納リスクを軽減し、自治体財政への負担を減らす有効な手段となると考えます。

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