2024年度から、公立高校の授業料無償化の対象が拡大されることになりました。これにより、一定の条件を満たす外国籍の生徒も、日本国内で公立高校や一部のインターナショナルスクールに無償で通うことが可能になります。
この政策は「教育の機会均等」を目的としており、日本に居住する外国人家庭の子供たちにも公平な教育の機会を提供しようというものです。しかし、こうした制度が導入されることについて、私は行政書士としてだけでなく、一人の国民として大きな疑問を感じています。
●日本人の子供が海外で教育を受ける場合との不公平
この政策の最大の問題点の一つは、日本人の子供が海外で教育を受ける場合、同様の支援を受けられないという点です。
例えば、日本人の家庭が海外赴任や移住を選択し、子供を現地の学校やインターナショナルスクールに通わせる場合、学費の全額を自己負担しなければなりません。日本政府からの支援はなく、むしろ教育費の高さがネックとなり、海外での子供の教育に苦労する家庭も少なくありません。
一方、日本に住む外国籍の子供は、今回の無償化政策により、公立高校だけでなく、一部のインターナショナルスクールにも無料で通える可能性があります。これは、日本人の子供が海外で受ける扱いと比較すると、明らかに不公平な状況です。

●その他の問題点
この政策には、その他にも多くの問題点が指摘されています。
①財源の問題
公立高校の無償化は、日本の税金によって賄われています。しかし、日本の少子高齢化が進む中、教育費の負担が増えることは、財政的にも大きな課題となります。外国籍の生徒にも適用することで、日本国民が納めた税金がどのように使われるのか、国民の理解を得られるのかという点も議論の余地があります。
②外国籍生徒の増加による教育現場への影響
今回の制度によって、より多くの外国籍生徒が日本の公立高校やインターナショナルスクールを目指すことが予想されます。これにより、教育の質や受け入れ体制の整備が追いつかず、現場に混乱が生じる可能性があります。
③「留学目的」での利用リスク
日本の高校無償化を目的に来日するケースも考えられます。すでに名古屋の入管のFacebookページでは、「条件にあえば、あなたが払う授業料が0円になります。」という投稿がされており、外国人家庭にとって日本の公立高校が魅力的な選択肢として映っていることがうかがえます。

④教育の機会均等の名の下での不公平感
公立高校無償化は、日本国内に住む全ての子供に平等な教育の機会を提供することが目的とされています。しかし、日本国民が納めた税金で運営される教育機関が、外国籍の生徒にも同じ条件で提供されることに対し、日本国民の間で納得できないと感じる人も多いのが現状です。
⑤日本の教育制度への影響
日本の公立高校は、基本的に日本の教育カリキュラムに基づいて運営されています。しかし、外国籍の生徒が増加すると、日本の教育制度が変化を余儀なくされる可能性があります。例えば、日本語を母語としない生徒が増えることで、日本語教育の負担が増し、学力レベルの均衡が崩れる可能性も指摘されています。
⑥外国人受給者の増加とその管理の難しさ
外国籍の生徒が無償化の恩恵を受けるための適用条件が適切に管理されるのかも懸念されています。例えば、一時的に滞在する外国人家庭が、教育費の負担を回避する目的で短期間だけ滞在し、無償化の恩恵を受けるケースも考えられます。こうした制度の悪用を防ぐための厳格な管理が求められます。
●今回の政策は慎重に議論すべきではないか
私は行政書士として、また一人の国民として、この政策が拙速に決められたのではないかと疑問を抱いています。すべての国民が納得する政策を作ることは困難ですが、少なくとも今回の公立高校無償化の対象拡大に関しては、慎重に議論を進めるべきだったのではないでしょうか。
世論を見ても、多くの国民がこの制度に対して納得していない様子が伺えます。例えば、Yahoo!ニュースの記事では、この問題について多くの意見が寄せられており、特に「日本人家庭の負担が増すのではないか」という懸念が目立ちます。
出典:Yahoo!ニュース記事
政策を決定する際には、国民の理解と合意が不可欠です。しかし、今回の公立高校無償化の拡大は、多くの国民が納得できないまま進められようとしています。これは、日本の教育政策において、今後の大きな課題を残すことになるでしょう。
●結論
公立高校無償化の対象を外国籍の生徒にまで拡大することは、単なる「教育の機会均等」という視点だけでなく、日本人の子供が置かれている状況との比較、財政的な持続可能性、そして国民の納得度といった側面からも慎重に検討する必要があります。
私は、この政策が日本にとって本当に良いものなのか、より多くの議論を重ねたうえで決定されるべきだと考えています。政府には、国民の声に耳を傾け、公平で納得感のある政策を実現してほしいと強く願っています。
