2025年2月17日、政府に対して提出された署名の数は1万1339筆。これは、2023年6月に成立した改正入管難民法(出入国管理及び難民認定法)に対する市民の強い懸念を如実に物語っています。特に、税金の滞納や軽微な法律違反を理由に永住許可が取り消される可能性があるという点が、多くの外国人住民や支援団体に深い不安を与えています。
改正入管難民法とは?
改正入管法は、2023年6月、自民・公明の与党に加えて日本維新の会、国民民主党などの一部野党の賛成により成立しました。この法改正の主な目的は、技能実習制度に代わる新たな外国人労働者受け入れ制度「育成就労」の創設ですが、その一方で、永住者に対する新たな規定も盛り込まれました。
これまで永住資格は、安定した生活基盤を持つ外国人に対して与えられ、日本社会の一員として定住するための重要な資格とされてきました。しかし今回の改正では、以下のような要件で永住資格の取消しが可能になりました。
- 税金や社会保険料を故意に滞納した場合
- 入管法上の義務を履行しなかった場合
これにより、外国人永住者は、税務上の軽微なミスや経済的困難による滞納でも、在留資格を失うリスクを背負うことになりました。

二重のペナルティと差別的構造
問題の核心は、永住者に対して他の国民とは異なる”二重のペナルティ“を科す構造です。税金の滞納は、当然日本人にも行政処分として追徴課税や差し押さえなどの措置が取られますが、外国人にはさらに「在留資格の取り消し」という重大な結果が追加されるのです。
これについて、国連の人種差別撤廃委員会も懸念を表明し、「永住者の人権への不均衡な影響がある」として日本政府に見直しを求めています。事実上、日本に長年住み、家庭を持ち、社会に貢献してきた外国籍住民が、経済的な事情や軽微な法違反で突然生活基盤を失う可能性があるのです。
すでに影響が出ている
東京都内で会見を開いた米国籍の会社員エマさん(仮名・30代)は、「日本で生まれ育った。けれど国籍国には帰れる場所がない」と語り、今回の法改正が与える不安を明かしました。彼女は将来的に独立してフリーランスとして活動することも視野に入れていましたが、「公租公課の不払いが永住資格の取り消し要件に含まれたことで、収入が不安定な働き方はリスクが高すぎる」と語ります。
また、同じく米国籍のハンナさん(仮名・30代)は、「帰る国は日本だと思っていた。なのに何をもって取消対象となるかが明確でなく、帰る場所を奪われたような気がする」と述べています。日本人と永住者の親を持つマリさん(仮名・20代)も、「家族がばらばらにされる危機感を持って生きることになる」と、その影響の深刻さを語りました。

筆者の見解:何を言っているんだ?
こうした反対意見に対して、筆者としては一言、「いったい何を言っているんだ?」と言いたい。税金を払わない人間が永住権を保持できるというのは、法治国家としてあまりに甘すぎます。これは差別ではなく、ルールに基づく区別です。
日本人であっても税金を滞納すれば厳しい対応が待っています。ましてや永住資格という特別な在留資格を得ている者が、義務を果たさないのであれば、取り消しも当然です。これは外国人を差別しているのではなく、一定の基準を守るよう求めているだけです。
また、永住者による犯罪が後を絶たない現状において、入管法の厳格化は、社会全体の安全のためにも必要不可欠なステップといえます。
改正入管法のメリット
税金を払わない外国人を排除できる
日本で生活する以上、公共サービスの恩恵を受けることになります。その対価としての納税は当然の義務です。これを怠る者を適正に管理する仕組みは、国の健全な財政運営のためにも不可欠です。
永住者による犯罪の抑止
永住資格が「無条件で保障された地位」ではないという認識が広まることで、より高い法令順守の意識が期待できます。永住者が「何をしても追放されない」という誤解を正す効果があります。
制度の透明性と厳格性の確保
今回の改正により、永住資格が更新不要・期限なしの在留資格であるにもかかわらず、違反があれば取消対象となるという「例外規定」が明文化されました。これにより、制度全体の運用に対する信頼性と公平性が向上すると言えるでしょう。
国民感情への対応
一部の国民の間で、「外国人ばかり優遇されているのではないか」という感情が根強くあります。永住者に対しても一定のルールを課すことで、国民全体の納得感や社会的統合が進みやすくなるという側面もあります。
おわりに
今回の法改正は、日本社会の一員として暮らす外国人にとっては確かに厳しい内容かもしれません。しかし、それは”差別”ではなく、共に暮らす上での”責任”を問うものであり、永住者である以上、一定の義務とルールを守ることが求められるのは当然のことです。
ただし、制度の運用においては慎重さが求められます。たとえば、どの程度の税金滞納が「故意」とみなされるのか、あるいはどのような行為が取消対象になるのか、明確なガイドラインと適正な手続きが不可欠です。過剰な運用により真面目に暮らしている永住者までが不安に陥るようでは、本末転倒です。
署名活動や市民の声は、そうした運用面の懸念に光を当てる意味で非常に重要です。法制度は一度決まれば終わりではなく、社会の声を反映させながら育てていくべきものです。
「共生社会」を掲げる以上、日本人と外国人の双方が納得できるバランスある制度運用が求められます。感情的な反発や不安だけでなく、冷静で建設的な議論を重ねながら、より良い在留制度の実現を目指していくことが、今こそ必要です。