SNSで拡散されている欧州の性犯罪統計は、2000年と2023年を比較し、イギリスやドイツ、フランスで件数が大きく増加していることを示している。この数字を見て、「移民受け入れの結果ではないか」と感じる人は少なくないだろう。

結論から言えば、この問題は単純ではない。
増加の背景には、法改正による定義の拡大や通報率の上昇といった要因が確実に存在する。特に欧州では「同意」の概念が厳格化され、従来は犯罪として扱われなかった行為も統計に含まれるようになった。
そのため、数字だけを見て社会が急激に悪化したと断定するのは正確ではない。
ただし、それで説明が尽きるわけでもない。
2010年代以降の移民受け入れによって、欧州の社会構造が大きく変化したのもまた事実である。異なる文化や価値観が短期間で流入すれば、摩擦が生じるのは避けられない。特に性に関する認識や男女の関係性については国ごとの差が大きく、これがトラブルの一因となるケースは現実に指摘されている。
さらに問題なのは、受け入れのスピードである。本来、移民政策は段階的に行い、教育や雇用を通じて社会に統合していく必要がある。しかし欧州では短期間で大量に受け入れた結果、特定地域への集中や失業、貧困といった問題が顕在化した。こうした環境は犯罪リスクを高める要因となり得る。これは個人の問題というより、政策設計の問題と見るべきである。

この点は日本にとっても無関係ではない。
現在、日本では外国人労働者の増加や技能実習制度の拡大が進み、将来的には永住者も増えていくと見られている。多くの議論は「どう受け入れるか」に集中しているが、本来はその前段階として「どこまで受け入れるのか」を冷静に検討する必要がある。
人手不足を理由に外国人労働者を増やすことは一見合理的に見えるが、その裏では賃金の上昇が抑えられ、産業構造の改革が遅れる可能性がある。さらに教育、医療、社会保障といったコストは確実に積み上がる。制度で管理できるという前提も、技能実習制度における失踪や不法残留の実態を見る限り、楽観できるものではない。
欧州の事例が示しているのは、「移民が悪いかどうか」という単純な話ではなく、社会の受け入れ能力を超えた変化が起きたときに何が起こるかという現実である。
日本が同じ状況に陥るかは今後の政策次第だが、少なくとも無制限に受け入れることがリスクである点は明らかである。
結局のところ、問われているのは「どう受け入れるか」だけではない。受け入れそのものをどこまで抑制するのか、あるいは本当に必要なのかという視点を含めて考える必要がある。人手不足は外から補う問題ではなく、国内の構造を見直すことで解決すべき課題である。


