近年、日本の大学や大学院に在籍する外国人留学生への過剰な優遇制度が、静かに問題視され始めている。
特に中国人留学生に対しては、授業料の全額免除、家賃補助、さらには年間240万円にも及ぶ生活費支援まで行われていた。
だが今、日本政府はようやくその「優遇」を見直す動きを見せ始めた。
その結果、支援の対象から外れることとなった中国人留学生たちは、怒りや困惑の声を上げ、抗議活動にまで発展している。
果たして、留学とは“支援される権利”なのだろうか?
そして、日本人学生よりも外国人を優先して支援してきた政策は、本当に正しかったのだろうか?

■ 留学生の支援限定を了承──日本人だけが対象に
2025年7月30日、文部科学省の「人材委員会」は、大学院博士課程の学生に支給されていた生活費補助制度「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」について、日本人のみを対象にする方針を正式に了承しました。
この制度は、優れた博士課程の学生に対して年間最大240万円の生活費と研究費を支給するもので、これまで中国人を中心とする多くの外国人留学生も対象となっていました。今後は研究費の支給は継続されるものの、生活費については日本人限定となる予定で、2027年度から実施が見込まれています。
これに対し、文科省前では一部の留学生や日本人支援者らが抗議デモを実施。制度見直しに反対する約1万9千人分の署名が提出されました。
名古屋大学の博士課程に在籍する中国籍の男子学生は、「ショックだ。経済的理由で留学を断念する外国人が増えるだろう」と発言し、報道にも取り上げられました。

■ 筆者の留学経験──ビザ更新には自己資金が必要だった
筆者自身もかつてスペインに語学留学をしていた経験があります。滞在に必要な留学ビザの更新条件として、「年間生活費相当額の自己資金」が銀行口座に入っていることが義務付けられていました。生活費の目安は年間で100万円〜150万円ほど。ビザを維持するためには、自力で生活できる経済的基盤が求められていたのです。
だからこそ、日本での240万円支給という制度がどれだけ「異例」だったのか、身をもって感じます。生活費を国が支給してくれる国など、世界的に見てもほとんどありません。
■ 本当に「学び」が目的の来日なのか?
支給対象外になった中国籍の学生が「ショック」「これで留学を断念する外国人が増える」と語ったという報道を見て、疑問を感じざるを得ません。
本当に**「学びたい」という熱意があるなら、自力で生活する覚悟があるはずです**。そもそも留学とは、語学力や専門知識を磨くために、自分の意志と資金でチャレンジするものであって、「お金がもらえるから行く」のでは本末転倒です。
むしろ、この発言は「タダで学ばせてもらえないなら来ない」と言っているようにも受け取れます。
■ なぜ「外国人だけ」が優遇されていたのか?
問題は、なぜこれまで日本人学生よりも外国人(特に中国人)留学生が手厚く支援されてきたのかという点です。
SPRING制度に限らず、中国人留学生は多くの奨学金、家賃補助、交通費補助などを受けてきました。中には年間300万円以上の公的支援を受けているケースもあります(参考:文部科学省「外国人留学生の経済状況に関する調査」)。
一方で、日本人の大学院生は奨学金の返済に追われ、昼夜問わずアルバイトで生活費を賄っているのが現状です。なぜ、自国の学生より外国人を支援しなければならなかったのか、多くの国民が疑問に思っていたはずです。

■ 支援の見直しは「正常化」への第一歩
今回の支援見直しは、「排外主義」でも「差別」でもありません。むしろ、制度の正常化にすぎません。日本政府がようやく、自国の人材育成を優先する方向に舵を切ったともいえます。
外国人留学生は、日本で学びたいなら自らの資金で滞在すべきであり、それが世界的な常識です。
実際、アメリカ、カナダ、ドイツなどでも、外国人への生活費支給は原則ありません。研究費は支給されることはありますが、「生活費までも税金で援助」という国はごく一部です。
■ まとめ:支援のバランスを取り戻せ
日本の税金は、日本人のために使うべきです。そして、真に学びたい外国人学生には、研究の機会は提供しつつ、生活は自己責任でやってもらう。このスタンスこそが、今後の留学生政策のあるべき形です。
今回の支援制度の見直しは、外国人だけが優遇されていた時代の「異常さ」を是正する意味でも、大きな一歩といえるでしょう。



