序論:外国人が生活保護を受けられるのはなぜか?
在留資格(ビザ)の要件として「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が求められる場合があります。これは、日本で生活する外国人が公共の負担にならず、自立して生活できることを前提としているためです。
しかし、現実には生活保護を受けている外国人が少なからず存在します。生活保護制度は、本来「日本国民」のためのセーフティネットとして設計されたものですが、外国人にも支給されている実態があります。
果たして、これは許されることなのでしょうか?なぜ外国人が生活保護を受けられるのか、その根拠や現状、日本国民の声、さらには今後の課題について詳しく掘り下げていきます。
外国人が生活保護を受けられる理由
外国人生活保護の申請条件と要件
外国人が生活保護を受給するためには、一定の条件を満たす必要があります。一般的な要件は以下のとおりです。
- 在留資格を有していること:不法滞在者や観光ビザでは申請できない。
- 長期的に日本に在住していること:特に「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などの資格が対象になることが多い。
- 就労不能な状態であること:高齢、病気、障害などによって働けない場合。
- その他、自治体の判断:自治体の裁量によって支給が認められる場合もある。
生活保護の支給は各自治体の判断によるため、地域ごとに運用が異なるケースもあります。
生活保護を受給する外国人の割合
総務省の統計によると、生活保護受給者全体の中で外国人が占める割合は年々増加傾向にあります。2022年度のデータでは、生活保護世帯のうち外国人が世帯主である割合は約3% であり、その数は年々増えているとされています。
特に、韓国・朝鮮籍、中国籍の外国人が受給者の多くを占めています。これは、戦後からの在日外国人の歴史的背景や、高齢化などが要因とされています。

外国人に生活保護を出す国の実態
他国の事例を見てみると、日本とは異なる制度が多いことがわかります。
- アメリカ:永住権を持たない外国人には原則として生活保護は支給されない。ただし、難民や特定のビザ保持者には限定的に支援が行われる。
- ドイツ:EU域内の移民と難民には一定の社会保障制度が適用されるが、一般の外国人が生活保護を受けるには厳格な審査がある。
- イギリス:永住権のない外国人にはほぼ生活保護が支給されないが、一部の例外として人道的措置が講じられる。
日本のように、法的根拠が明確でない形で外国人に生活保護を支給している国は少数派であり、特に先進国の中では異例といえます。
日本における外国人生活保護の問題
生活保護法における外国人の位置付け
日本の生活保護法では、対象を「国民」に限る と明記されています。これに基づき、2014年(平成26年)には 最高裁判所が「外国人は生活保護の対象外」とする判決 を下しました。
しかし、旧厚生省(現・厚生労働省)は1954年(昭和29年)に「外国人にも日本国民に準じて生活保護を適用する」旨の通知を出しており、これが現在も事実上の運用指針となっています。
日本人との違い:外国人受給者の実情
外国人受給者と日本人受給者では、以下のような違いが指摘されています。
- 家族単位での受給:日本人は単身の高齢者や障害者が中心であるのに対し、外国人は世帯全体で受給するケースが多い。
- 母国からの支援が期待できる可能性:日本人の場合は国が唯一の生活保障だが、外国人は母国の社会保障を受けられる可能性がある。
- 働ける状況でも受給しているケース:日本語が話せない、就労先が見つからないなどの理由で、就労可能な外国人が生活保護に頼るケースがある。
外国人生活保護の打ち切りに関する議論
外国人の生活保護を巡る議論は近年、特に活発になっています。
2024年3月14日の参院予算委員会では、日本維新の会の柳ケ瀬裕文議員が「外国人生活保護は法的根拠がない」として、制度の見直しを求めました。しかし、福岡資麿厚生労働相は「現行の運用を維持する」とし、見直しには否定的な見解を示しました。
柳ケ瀬議員は、在留外国人の増加に伴い、今後さらに生活保護受給者が増える可能性 を指摘。現在の「旧厚生省の通知」に基づく運用を廃止し、法的根拠を明確にするべきだと主張しました。
また、年間1200億円にのぼる可能性がある外国人生活保護費 について、国民の負担が増大することへの懸念も示されました。

結論:外国人生活保護は見直すべきか?
外国人が生活保護を受けられる現状は、法的には「国民限定」とされているにもかかわらず、行政の通知により例外的に認められている状況です。この問題は、次の2点が大きな論点となります。
①法的根拠の不明確さ:日本国民のための制度であるはずの生活保護が、旧厚生省の通知だけで外国人に適用されている。
②財政負担の増加:外国人受給者が増え続ける中、今後の社会保障制度をどう維持していくか。
この問題は、単なる人道的な観点だけでなく、財政や法的な整合性も含めて慎重に議論されるべきです。少なくとも、現行の運用を一度見直し、法的根拠を明確にすることが求められています。このまま無制限に外国人への生活保護を続けるのか、それとも厳格な制度設計をするのか――今後の国会での議論が注目されます。
筆者の意見
論ずるに値しない
本稿では、外国人の生活保護受給についての問題点や議論を紹介してきましたが、筆者としては、この問題は**「論ずるに値しない」**と考えています。
なぜなら、そもそも在留資格(ビザ)の要件として、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が求められる ためです。これは、日本で生活するためには、自分自身で生計を立てられることが前提であり、もしそれができなくなった場合、本来であれば在留資格を失うべき なのです。
したがって、「外国人が生活保護を受けられるかどうか」という議論自体が、本来の法律の趣旨から逸脱しており、問題にすること自体が無意味です。
外国人生活保護の不公平性
さらに、筆者はかつてスペインに7年間住んでいましたが、そこで生活保護を受けている日本人には一度も出会ったことがありません。実際、日本人が海外で貧困に陥った場合、その国の政府から生活保護を受けられる可能性は極めて低い のが現実です。
それにもかかわらず、日本では外国人が生活保護を受けられるという「特権」 が事実上存在している。これは、日本国民にとって大きな負担であり、社会の公平性を著しく損なうものです。
結論:自国に頼り、早々に帰国するべき
結論として、日本で自立した生活ができなくなった外国人は、自国に帰るのが筋 です。日本の税金によって外国人を支える義務はなく、生活に困ったら母国の政府や家族に頼るのが本来のあり方です。
日本が他国と同じように、自国民のために社会保障を運用することは当然のことです。外国人の生活保護受給が続けば、日本の財政負担はさらに増大し、将来的には日本人の生活保護受給者への支援にも悪影響を及ぼしかねません。
この問題について、もっとも合理的な解決策はただ一つ――「生活できない外国人は速やかに母国へ帰国するべき」 ということです。