外国人への生活保護はなぜ? フィリピン人の不正受給事件から考える日本の制度の歪み

外国人問題

香川県三豊市で、フィリピン国籍の女性が生活保護費を不正に受給していたとして逮捕されました。
金額はなんと423万円余り。数年間にわたり虚偽の申告を続けていたといいます。

なぜこのような不正が起きるのか。
そして、そもそも外国人に生活保護が支給されるのはなぜなのでしょうか。
本記事では、事件の概要と制度の背景、そして日本社会が抱える問題について解説します。


フィリピン人の女、生活保護費423万円を不正受給

香川県三豊市高瀬町に住むフィリピン国籍の会社員の女(45)は、生活保護費を不正に受給したとして2025年10月21日、詐欺の疑いで逮捕されました。

警察によりますと、女は別居中の夫から仕送りを受け取っていたにもかかわらず、それを市に申告しなかったとのことです。
2021年4月から2024年12月までの間、計46回にわたって生活保護費423万6350円を受け取っていたとされています。

本来、生活保護は「資産も収入もなく、他に生活手段がない人」を支援する制度です。
仕送り収入がある場合は、当然ながら保護対象外になります。
つまり、収入の存在を隠して受給していた時点で「詐欺」にあたる行為です。


なぜ外国人が生活保護を受けられるのか?

●法律上、外国人に生活保護の権利はない

まず前提として、日本の**生活保護法(1950年制定)**では、対象者を「日本国民」と明記しています。
つまり、本来は外国人に対して生活保護を支給する法的根拠は存在しません。

【参考】生活保護法第1条(目的)
この法律は、日本国民に対し、生活に困窮する者に必要な保護を行い、その自立を助長することを目的とする。

では、なぜ現実には外国人も受給できているのでしょうか。


●きっかけは1954年の厚生省通達

答えは、1954年に当時の厚生省が出した「生活保護法の準用に関する通知」にあります。
この通達では、「永住者など一定の外国人については、人道上の観点から日本人と同様に扱うこと」とされました。
つまり、法律上の権利ではなく、“行政上の運用”として認められているというのが実態です。

その後も慣例的に支給が続けられ、2024年度の時点で、生活保護受給世帯のうち約3%が外国人世帯とされています(厚生労働省統計より)。


日本だけの「人道的配慮」 世界では異例の制度運用

●欧米諸国では「帰国支援」が基本

外国人に対して公的扶助を行う国は、実は日本のように多くありません。
例えばドイツやフランスなどでは、外国人が生活に困窮した場合、「帰国を促す」「就労支援を優先する」という対応が一般的です。
あくまで「自国民の保護」を第一に考えており、外国人を税金で養うという考え方はほとんど存在しません。

一方、日本では「人道的配慮」という名目のもと、外国人にも日本人と同様の保護を与えています。
この「優しすぎる運用」が、悪用の温床になっているとの指摘もあります。


●生活保護を“狙う”外国人も

実際、入管関係者の間では「永住ビザを取得して生活保護を狙う外国人」が存在することが知られています。
日本は医療費が原則無料(生活保護受給者の場合)であり、住宅も提供されるため、**外国人から見れば“非常に手厚い国”**です。

一方で、支給側の自治体職員は外国語対応に苦労し、不正を見抜けないまま長期間支給が続くケースもあります。
今回のフィリピン人女性のように、収入を隠して受給していた例は氷山の一角といえるでしょう。


「おにぎりが食べたい」と亡くなった日本人もいるのに

日本国内では、生活保護を受けられずに命を落とす人がいます。最も有名なのは、2007年に北九州市で起きた事件です。


男性が「おにぎりが食べたい」と日記に残して餓死した事件は、行政対応の冷たさが大きな社会問題となりました。

しかしその一方で、外国人が不正受給を繰り返している現実があります。
働く意志を持ちながらも支援にたどり着けない日本人がいる中で、制度を悪用する外国人が守られる――。
この構図は、まさに「国民のための制度」が歪んでしまった象徴です。


制度を見直すべき時期に来ている

生活保護は本来、「日本国民を守る最後のセーフティネット」です。
しかし、外国人への支給が常態化している現状は、制度の理念から大きく逸脱しています。

もちろん、真に困窮している外国人を見捨てろという話ではありません。
ただし、支給の根拠が法律ではなく通達である以上、その範囲や基準を明確に見直す必要があります。
特に不正受給が相次ぐ現状では、「人道的配慮」という曖昧な理由では国民の理解を得られません。


まとめ:本来守るべきは誰なのか

今回のフィリピン人女性による不正受給事件は、単なる個人犯罪ではありません。
戦後から続く行政慣例が、結果的に外国人への過剰な支援を招き、日本人が不公平感を抱く構造を作り出しています。

日本人が「おにぎりが食べたい」と言い残して亡くなる一方で、外国人が税金によって生活を保障される。この現状を見直さなければ、真に困っている人を救うことはできません。

生活保護制度は、本来守るべき国民のために存在する制度です。
国民が納めた税金が、誰のために使われているのか――。
今こそ、政府も国民も真剣に向き合うべき時期に来ています。


【出典・参考資料】

  • 厚生労働省「生活保護制度の概要」
  • 生活保護法(昭和25年法律第144号)
  • 最高裁平成26年7月18日判決(外国人の生活保護受給権に関する判決)
  • 香川県警察発表報道(2025年10月21日)