※写真は2025年11月22日現在のもの
東京・御徒町駅のすぐ近くで、巨大な「9階建てモスク」が建設されていることをご存じでしょうか。私もつい先日、実際に現地へ足を運び、工事の様子を確認してきました。建物は防塵シートに覆われ、まだ工事中ではありますが、その高さと存在感はすでに周囲から一目でわかるほどでした。
このモスクは、宗教法人アッサラーム財団によって建設されており、地上9階・高さ約39メートルという国内最大級の規模になる見込みです。完成すれば、礼拝施設だけでなく、教育施設や多目的ホールも併設する複合施設として運用される予定です。
しかし、SNSやニュースのコメント欄を中心に、日本人の多くが強い不安や反対の声を上げています。ではなぜ、このモスクはここまで大きな反響を呼んでいるのでしょうか。現地の雰囲気や公開されている情報をもとに、主な理由を整理してみます。
■1. 「街の景観が一変するのでは」という不安
御徒町・上野エリアは、古くから日本人の商店街文化が根づいた地域です。私が現地で見た印象としても、飲食店や古い雑居ビルが密集し、下町の雰囲気が残る街並みでした。
そんな場所に高さ39メートルの巨大モスクが建てば、街の景観が大きく変わることは事実です。
「突然、異文化の象徴がそびえ立つことに抵抗感がある」「街のアイデンティティが変わってしまうのではないか」という声が上がるのは当然ともいえます。


■2. 治安・騒音への懸念
モスクに集まる人数は礼拝時に数百人規模になると見られ、周辺住民は人の流入による騒音や混雑を心配しています。
特にSNSでは「アザーン(礼拝呼びかけ)が流れるのでは?」という不安が多く見られます。日本ではモスクが拡声器でアザーンを流すケースはごく少ないのですが、情報が不足しているため、誤解が不安を増幅させている側面があります。
また、外国人労働者が増えることで治安が悪化するのでは、という声も根強くあります。実際、御徒町周辺にはハラール食材店やムスリム向けの飲食店がすでに増えており、「地域のエスニック化」を懸念する人もいます。

■3. 「宗教拠点化」への警戒感と安全保障の不安
反対意見の中で特に多いのが、「ここが将来的に日本におけるイスラム教の拠点になり、影響力が強まるのでは」という懸念です。
日本では宗教法人の透明性や活動内容に関する情報は一般に出回りにくく、特に海外宗教法人に対する監督体制に不安を持つ人は少なくありません。そこに、9階建てという規模の大きさが加わり、「単なる礼拝所ではないのでは」と推測されているのです。
もちろん、多くのムスリムは平穏に暮らし、宗教活動も穏やかなものです。しかし、情報不足のまま巨大な宗教施設が建つことで、住民が不安を抱くのは自然な反応ともいえます。

■4. 行政と地域住民のコミュニケーション不足
現地で聞き込みをしたわけではありませんが、ネット上では「行政が説明会を開いていない」「住民の声が十分に反映されていない」という不満が目立ちます。
大規模な宗教施設は、地域コミュニティに大きな影響を与えます。本来であれば、建設前に丁寧な説明や合意形成が求められるものですが、今回のモスクはその点が不十分だった印象を受けます。
結果として、住民が事後的にSNSで情報を知り、不安や怒りを抱いている状況です。

■5. 文化・宗教の違いによる「心理的な距離」
最後に、最も大きな本質的理由は、日本人とイスラム文化との距離感そのものです。
イスラム教は日本では馴染みが薄く、礼拝の習慣や生活ルールに触れる機会はほとんどありません。そのため、「何をしているのかわからない」「文化が違いすぎて想像できない」という“未知への不安”が、巨大モスクへの警戒感として表れているのです。
しかし、実際に現地を歩くと、周辺の飲食店で働いているムスリムは礼儀正しく、地域と共存しようとする姿勢が感じられます。問題は文化そのものではなく、不透明さと情報不足が不安を増大させている点にあると感じました。
■まとめ:対立を深めるのではなく、「情報と対話」が必要
御徒町の9階建てモスクは、現時点でまだ工事中ですが、完成すれば全国的に大きな注目を集めることは間違いありません。
日本人の多くが反対する理由は「宗教施設そのもの」ではなく、
- 街並みの変化
- 治安や騒音の懸念
- 影響力の増大への警戒
- 行政の説明不足
- 文化的な距離感
といった、複数の不安の積み重ねによるものです。
今後必要なのは、建設側・行政・地域住民がきちんと情報を共有し、相互理解を深めていくことだと感じました。巨大なモスクが地域にどのような影響を与えるのか、引き続き現地を見ながら考えていきたいと思います。




