“人身取引”か…タイ国籍12歳少女に“違法接客” 経営者逮捕 少女の今後は?

外国人問題

東京都内の違法個室マッサージ店で、タイ国籍の12歳の少女に接客をさせたとして、経営者の男が逮捕されました。警視庁によると、この少女は人身取引の被害者である可能性が高く、性的なサービスを強要されていたとみられています。

日本国内で「12歳」という年齢の少女が、こうした過酷な環境に置かれるという事実に、多くの国民が衝撃を受けています。しかし、この事件は決して“例外”ではありません。


背景には、外国人労働者の増加に伴う「地下労働市場の拡大」と「監視体制の限界」があります。


■ 少女はどうやって日本に?

報道によると、少女はタイから入国して間もなく、都内のマッサージ店で働かされていました。入国経路の詳細は明らかになっていませんが、多くの場合、ブローカーが「高収入の仕事がある」と親や本人に持ちかけ、観光ビザなどを悪用して入国させるケースが見られます。

一度入国すると、携帯電話やパスポートを取り上げられ、逃げることができない状態にされることも少なくありません。
こうした構造は、まさに「現代の奴隷制度」と言わざるを得ません。


■ 「人身取引禁止法」だけでは救えない現実

日本は2005年に「人身取引対策行動計画」を策定し、刑法にも「人身売買罪(刑法第226条)」が定められています。
しかし、実際に人身取引が摘発される件数はごくわずかであり、摘発後の被害者保護も十分とはいえません。

被害者の多くは、在留資格の問題を抱えています。
不法就労やビザの期限切れが絡む場合、「被害者」であるにもかかわらず、入管法違反として強制送還の対象となってしまうケースもあるのです。


■ 12歳の少女の「今後」

今回の少女についても、今後の保護方針が焦点となります。
法的には児童相談所や福祉施設での一時保護が想定されますが、母国との連携がうまくいかなければ、長期的な支援は困難です。

もし少女が帰国する場合、再びブローカーに狙われる可能性もあります。貧困家庭であればあるほど、「日本で稼げる」という幻想を信じざるを得ません。
逆に日本で保護を続ける場合も、言語・教育・心理ケアなどの面で大きな課題があります。
一度「大人に裏切られた」経験を持つ子どもが、再び信頼を取り戻すまでには、長い時間がかかります。


■ なぜ摘発が難しいのか?

日本では、マッサージ店やエステを装った違法風俗が多数存在しています。特に都市部では、外国人経営者による店舗が増加傾向にあり、労働実態の把握が困難です。
警察が立ち入りを行っても、経営者が偽装書類や他人名義で店舗を運営している場合、責任の所在を突き止めるのに時間がかかります。

さらに、「本人の意思で働いている」と装うケースも多く、表面的には“労働”に見えても、実際には監禁・搾取が行われていることがあります。
こうした構造を見抜くには、警察・入管・自治体の連携が不可欠です。


■ 取り締まりだけではなく「再発防止」も

事件が起きるたびに逮捕者は出ますが、根本的な再発防止には至っていません。
理由は明確で、「需要」が存在するからです。
性的搾取に関わる犯罪は、単なる“供給側の問題”ではなく、“需要を生み出す社会”の問題でもあります。

また、SNSや闇バイト掲示板などを通じて、未成年を狙った勧誘が巧妙化しています。
外国人の少女であれば、言葉の壁を利用され、逃げ場を失うことも多いのです。


■ 日本社会の「見て見ぬふり」

日本は治安の良い国とされますが、こうした事件は「見えないところ」で頻繁に起きています。
しかも、外国人の関与が増えることで、地域社会はますます実態を把握できなくなっています。

行政は「多文化共生」という名のもとに外国人受け入れを推進していますが、実際には“誰が守るのか”という議論が置き去りにされています。
今回のように未成年が巻き込まれる事件は、制度の隙間に落ちた結果と言えるでしょう。


■ 日本が本当に問われていること

今回の事件で問われるべきは、加害者の責任だけではありません。
「少女を守る体制が日本に存在したのか」という点です。
ビザ管理の厳格化、風俗営業の監視強化、ブローカーの摘発といった法的対応に加え、児童保護の国際連携を強化する必要があります。

人身取引防止は国際的な義務です。日本は「人身取引に関する国際議定書(パレルモ議定書)」を批准していますが、現場では依然として“紙の上の対策”にとどまっています。
このままでは、また別の少女が、同じように「働かされ」「捨てられる」未来が待っているだけです。


■ 結びに:少女の「その後」を見届ける責任

事件の報道が終われば、世間の関心はすぐに薄れます。
しかし、被害者となった少女の人生は、これからが本番です。
“救出”はゴールではなく、スタートであることを忘れてはなりません。

彼女のような子どもが二度と生まれない社会をつくるためには、
「外国人問題」と「児童保護問題」を分けて考えるのではなく、
両方を横断して支援できる仕組みが必要です。