日本で起業や事業運営を目的として外国人に与えられる在留資格「経営・管理」について、出入国在留管理庁は要件の厳格化を進めています。
2025年8月、朝日新聞の報道によると、これまで500万円とされてきた資本金要件を、原則3,000万円以上へと引き上げる方向で最終調整に入ったとされています。有識者会議の意見を聞いたうえで、年内の省令改正・施行が目指されています。
この背景には、外国人、特に中国人による「ペーパーカンパニー」を通じた不動産の大量取得や、実態のない事業によるビザ取得の横行があります。
果たして、要件の金額を6倍に引き上げることで、日本の不動産市場や地域社会を守ることができるのでしょうか? 本記事では、制度の概要と問題点、そして今後の課題について、わかりやすく解説していきます。
ザルだったこれまでの「経営・管理ビザ」の要件
「経営・管理ビザ」は、日本で会社を設立・経営したい外国人にとっての主要な在留資格です。
■旧制度の主な要件
- 資本金500万円以上
- または、日本人・永住者など2名以上の常勤雇用
- オフィスや事業所の確保(形式的な登記でも可)
しかしこの制度は、実際には以下のような問題がありました。
- 実態のないオフィスに登録された法人
- 日本人名義を使って経営実態を偽装
- 会社設立後に一切事業を行わず、事実上「不動産購入専用」の会社
- バーチャルオフィスや空きテナントの一角での形式的な登記
特に中国人によるペーパーカンパニーを通じた不動産取得は深刻で、東京・大阪・沖縄・北海道などで、法人名義のマンションや土地買い占めが広がり、地域社会との摩擦も増えています。

経営管理ビザクラブとは一体…
今回の制度改正:資本金要件「3,000万円」+「常勤職員1人以上」も新要件に
出入国在留管理庁が進める制度改正では、従来の甘い基準を見直し、ペーパーカンパニーによる不正取得を防ぐための措置が講じられます。
■新制度の要件(案)
- 資本金3,000万円以上(現行の6倍)
- 常勤職員を2人以上雇用すること(新たに追加)
この改正により、「カネだけ用意して法人を立てる」だけではビザは下りず、実際に人を雇って、事業を継続して行う体制が求められます。
ただし、この新基準はあくまで“これから申請する外国人”が対象であり、すでにビザを取得して日本に滞在している外国人には原則として遡及適用されないと見られています。
問題は「金額」ではなく「制度」そのもの
今回の改正案は、外形的には強化されたように見えますが、根本的な問題は「金額の多寡」ではありません。
なぜなら…
- 3,000万円程度の資金であれば、中国などの富裕層にとっては高いハードルではない
- 制度が改正されても、それに適応した新たな抜け道を模索するのが常態化している
- 形式的な雇用やダミー会社を使った偽装申請も可能性として残る からです。
過去にも、日本が一部制度を厳格化しても、すぐに新たな手法で移住のルートを確保されてきました。制度の裏をかくノウハウに長けた勢力に対しては、「形式的な基準」では限界があるのです。

すでに「入り込んだ層」は野放し状態?
もっとも深刻なのは、これまでの低基準のもとでビザを取得し、不動産を買い漁った外国人がすでに国内に多数存在しているという現実です。
- 北海道のリゾート地では中国系企業による山林・土地買収が進行
- 東京の一部地域では中国資本のマンション群が密集
- 沖縄では観光地の土地・ホテルが外資系法人に次々と買収
これらの“既得権益化”した中国資本に対して、今回の制度改正が及ばないのであれば、景観・治安・経済主権の観点からも、問題は残されたままとなります。

経営管理ビザ取得を推進する広告
抜け道を防ぐには、制度全体の再構築が必要
本当に実効性のある対策とするためには、以下のような追加施策が不可欠です。
■必要とされる制度的対応
- 外国人による不動産取得に対する事前審査制度の導入
- 国が安全保障の観点から購入を制限・審査する仕組みを整備
- 経営実態の継続的な監査体制の構築
- ビザ取得後も帳簿・雇用状況・納税状況を定期的に報告させる
- 不動産所有者の国籍別公開制度の導入
- 地域住民・自治体が実態を把握しやすくすることで、トラブルの予防へ
- 既存の在留資格者に対する再審査制度の検討
- 既に滞在している外国人のビザ更新時に、実態調査を徹底

結論:金額だけでなく「制度の抜け穴」をふさぐ視点を
資本金の金額を6倍に引き上げるという今回の制度改正は、確かに前進と言えます。しかし、それだけでは問題の根幹に迫ることはできません。
日本の不動産と地域社会を守るためには、金額基準の強化だけでなく、「制度設計そのものの再構築」と「継続的な運用監視」が必要です。
現場では、すでに外国人による土地買収が進み、景観や住環境の変化が起きています。この流れを放置すれば、日本の土地が“静かに”他国の資本に侵食されていくという危機に直面しかねません。
制度改正は第一歩に過ぎません。今後の実効性ある対応と、国民的な議論の広がりが求められます。
これだけで不正取得を防げるとは限りません。中国をはじめとする一部の富裕層にとって、3,000万円という金額は決して大きなハードルにはならないからです。
本当に必要なのは、入管当局が「どのような経営が実態として行われているのか」を継続的に把握し、虚偽やペーパー会社による申請を排除することです。資本金額の形式的な引き上げよりも、実態調査と運用の厳格化こそが最大のポイントと言えます。
つまり「実態把握」こそが何よりも大切なのです。これがなければ、制度改正は形だけに終わり、不正を根本から正すことはできません。
参考リンク:
- 朝日新聞「経営・管理ビザ、要件を厳格化へ 資本金など6倍で最終調整」 https://www.asahi.com/articles/AST833FLKT83UTIL001M.html
- 出入国在留管理庁|在留資格「経営・管理」 https://www.moj.go.jp/isa/




