短期滞在で入国後に救急搬送、3倍の医療費請求は不当?「法の下の平等」の履き違え

外国人問題

短期滞在で日本に入国した中国人女性が救急搬送され、治療を受けた際に「無保険の日本人の3倍にあたる医療費を請求されたのは不当だ」として、大阪府吹田市の国立循環器病研究センターを提訴する意向を示しました。差額分450万円の支払い免除を求め、10日にも大阪地裁に訴えを起こすと報じられています。

報道によれば、滞在予定が短期の外国人は健康保険制度の対象外であり、そのため自由診療扱いとなります。各医療機関が裁量で医療費を請求できる仕組みになっており、今回のケースでは300%、つまり日本人の3倍の請求がなされました。女性側はこれを「国籍を理由とした差別」だと主張しています。


日本の保険制度を全く理解していない主張

ここで改めて考えるべきなのは、日本の医療制度の根幹である「国民皆保険制度」です。日本では、すべての国民が健康保険に加入し、毎月一定の保険料を支払うことで、必要なときに医療サービスを受けられる仕組みになっています。これは世界的に見ても非常に整備された制度であり、日本の医療水準を支える大きな柱となっています。

この制度の特徴は、単なる「個人保険」ではなく「社会保険」であるという点です。すなわち、自分が病気やけがをしたときの備えだけではなく、健康なときにも毎月保険料を支払い、社会全体で医療費を支え合う「相互扶助」の仕組みになっているのです。そのため、保険料を支払っていない人が保険診療を受けることは本来認められません。支払いの義務を果たしていないにもかかわらず、日本人と同じ水準で治療を受けることこそ、不公平だと言えます。

短期滞在で来日している外国人は、当然ながら日本の健康保険に加入していません。ですから、自由診療となるのは当然の制度設計であり、それを「差別」と主張するのは日本の仕組みを理解していないとしか言いようがありません。医療費が高額になるのは自由診療の宿命であり、世界各国でも同じことが行われています。

民間医療保険加入勧奨チラシ

提訴するのは日本国籍の長女

今回の報道でさらに注目されるのは、訴訟を起こすのが患者本人ではなく、日本国籍を持つ60代の長女であるという点です。親が中国籍であるにもかかわらず、娘が日本国籍を持っている背景には、帰化や国際結婚といった事情があるのでしょう。

しかし、ここで重要なのは国籍の問題ではありません。「保険料を支払っているか否か」という制度上の条件こそが、本質的な争点です。

日本の国民皆保険制度は「支払う者が守られる」という大前提のもとに成立しています。たとえ日本国籍を持っていたとしても、保険料を支払っていなければ同じ扱いを受けられるわけではありません。ましてや短期滞在の外国人であれば、保険加入資格すらないため自由診療になるのは当然です。

今回の訴訟では「法の下の平等」が強調されていますが、平等を主張するのであれば、まず制度のルールを理解し、支払い義務を果たすことが先ではないでしょうか。義務を果たさずに権利だけを求める姿勢は、まさに「平等の履き違え」と言えるのです。


『法の下の平等』の正しい理解

日本国憲法14条には「法の下の平等」が定められていますが、これは「合理的な区別」まで否定するものではありません。例えば、納税している人と納税していない人に同じ公共サービスを与えないのは合理的な区別です。同じように、健康保険料を支払っている人とそうでない人を区別するのも当然のことです。

「国籍による差別」だと主張する人もいますが、実際には国籍ではなく「保険料を支払っているか否か」という条件に基づいた区別なのです。日本人であっても無保険であれば同じように自由診療扱いになります。つまり、このケースは差別ではなく、合理的な制度運用にすぎません。

自由診療で300%請求することも、日本の制度上認められていることであり、医療機関が患者に対して説明責任を果たしているのであれば問題はありません。これを「差別」と断じるのは、制度を理解していないか、意図的に論点をずらしているとしか思えません。


世界各国の対応と比較

さらに言えば、日本だけがこうした制度を設けているわけではありません。例えばアメリカでは、医療保険に加入していない人が治療を受ければ、莫大な医療費を請求されます。数百万円から数千万円に及ぶことも珍しくなく、外国人旅行者が医療費で破産する事例も報告されています。

ヨーロッパでも、EU域外からの短期滞在者に対しては自由診療を適用し、通常より高額な医療費を請求する国が多いです。むしろ日本の請求水準は国際的に見れば比較的抑えられていると言えるでしょう。それにもかかわらず「差別だ」と訴えるのは、日本の制度を軽視し、自国の感覚を持ち込んでいるだけです。


まとめ 弁護する日本人にも問題がある

今回のケースで注目すべきは、外国人本人やその家族の主張だけではなく、それを弁護する日本人の存在です。弁護士や支援団体の中には、「人権」や「平等」といった言葉を前面に掲げ、制度の根本を無視した訴訟を起こす人たちが少なくありません。しかし、こうした動きは日本の制度を揺るがし、国民皆保険の根幹を崩しかねない危険性をはらんでいます。

国民皆保険制度は、日本人納税者が支える非常に大切な仕組みです。外国人に不必要な特権を与えてしまえば、その負担はすべて日本国民に跳ね返ってきます。制度を維持するためには、合理的な区別を守り、支払いの義務を果たした者が正当に権利を得られる仕組みを守ることが不可欠です。

今回の訴訟の行方は、単なる一事例にとどまらず、日本の制度を守れるかどうかの試金石になる可能性があります。国民の理解と冷静な議論が求められると同時に、私たち一人ひとりが「平等」とは何か、「権利」とは何かを改めて考える契機とすべきでしょう。