海外で取得した運転免許を日本の免許に切り替える、いわゆる「外免切り替え」制度について、群馬県警は、審査が厳格化された2024年10月に実施された実技試験で、合格者が一人もいなかったと発表しました。
受験者は101人でしたが、全員が不合格となる異例の結果です。
参考までに、昨年1年間の通過率は9.7%(4037人中391人)でした。
この結果は一部で驚きをもって報じられていますが、制度の趣旨やこれまでの問題点を考えると、「当然の結果」と受け止める声も少なくありません。
外免切り替えとは何か(基本の確認)
外免切り替えとは、外国で取得した運転免許証を、日本の運転免許証に切り替える制度です。
一定の条件を満たせば、日本の教習所に通わず、学科試験と技能(実技)試験を受けることで免許を取得できます。
この制度は本来、
・海外で長年運転経験がある日本人の帰国者
・日本に中長期滞在する外国人
などを想定したものでした。
しかし近年は、短期間の滞在者や、日本の交通ルールに十分な理解がないまま申請するケースも増え、制度のあり方が問題視されてきました。

余裕で合格とSNSで自慢する外国人
Q&A(基本的な疑問)
- Q外免切り替えは誰でもできますか?
- A
いいえ。誰でもできるわけではありません。
有効な外国免許を所持していること、一定期間その国で滞在していたこと、日本での住所があることなど、複数の要件があります。
- Q日本語ができなくても受験できますか?
- A
一定の配慮はありますが、日本の交通ルールを理解できない場合、合格は極めて困難です。
特に実技試験では、標識や安全確認の意味を理解していることが前提となります。
- Q学科試験と実技試験、どちらが重要ですか?
- A
どちらも重要ですが、最終的に不合格となる原因は実技試験が多いのが実情です。
日本特有の安全確認や運転マナーが厳しく見られます。
- Q実技試験はどのような点が見られますか?
- A
交差点での安全確認、横断歩道での歩行者優先、合図の出し方など、細かな点まで評価されます。
「事故を起こさない運転」ではなく、「日本のルールに沿った運転」が求められます。
- Q今回のような結果は全国的な傾向ですか?
- A
群馬県の事例が注目されていますが、他県でも合格率が低下していると報じられており、全国的な流れと考えられます。
「当然の結果」しかし…見過ごせない問題
今回、合格者がゼロだったことについて、「厳しすぎる」という意見もあります。
しかし、日本の道路は歩行者や自転車が多く、交通事故が命に直結する社会です。
これまでの外免切り替え制度は、
・試験が簡単すぎる
・実技が形式的
・日本の交通事情を十分に反映していない
といった批判がありました。
その意味では、今回の結果は制度本来の姿に近づいたとも言えます。
一方で、ここで一つ大きな疑問が残ります。
今までの合格者はどうなるのか?
「では、これまで比較的容易に外免切り替えで免許を取得した人はどうなるのか」という点です。
結論から言えば、すでに交付された免許が取り消されることはありません。
法律上、適法に取得された免許は有効です。
しかし、
・日本の交通ルールを十分に理解していない
・運転技術が日本の基準に達していない
まま運転している人が一定数いる可能性は否定できません。
今後は、事故や重大違反があった場合、より厳しい行政処分や再教育が求められる流れになると考えられます。

住所がホテルでも可…
今後の対策案(制度・社会の視点)
今回の群馬県警の発表を受け、外免切り替え制度については「厳しすぎる」「外国人排除だ」といった声も一部で上がっています。しかし、制度の目的は外国人を排除することではなく、日本の道路交通の安全を確保することにあります。
その視点に立てば、今後は次のような対策が必要と考えられます。
① 実技試験の厳格化を一時的なものにしない
今回の「合格者ゼロ」という結果が、一過性の対応で終わってしまっては意味がありません。
都道府県によって試験の難易度や採点基準にばらつきがある現状では、「厳しい県」と「緩い県」を受験者が選ぶだけになってしまいます。
実技試験については、
・安全確認の方法
・横断歩道での対応
・交差点での優先関係
など、日本の免許試験と同等レベルの基準を全国一律で明確化する必要があります。
「たまたま厳しかった」「担当官次第だった」という印象を与えないことが、制度への信頼確保にもつながります。
② 日本の交通ルールに関する事前教育の義務化
多くの不合格者に共通しているのは、運転技術以前に日本独特の交通ルールを理解していないという点です。
例えば、
・横断歩道では歩行者最優先
・踏切での一時停止
・巻き込み確認の徹底
などは、国によっては存在しない、または重要視されていないルールです。
そのため、試験だけを厳しくするのではなく、
「一定時間の交通ルール講習を受講しなければ受験できない」
といった仕組みを導入することも検討すべきでしょう。
これは外国人にとっても不利な制度ではなく、事故を防ぎ、自分自身を守るための制度と言えます。
③ 外免切り替えを“近道”と考えさせない制度設計
これまで外免切り替えは、「日本の教習所に通うより簡単」「早く免許が取れる」というイメージが先行していました。
しかし、その結果、日本の道路事情に十分適応できていないドライバーが増えたことも事実です。
今後は、
・外免切り替えはあくまで例外的な制度
・原則は日本の免許制度に沿った取得
という位置づけを、より明確にする必要があります。
場合によっては、一定の条件を満たさない場合、日本の教習所での講習や実技教習を一部義務付けることも現実的な選択肢でしょう。
④ 受け入れる側(企業・自治体)の意識改革
外国人労働者を雇用する企業や自治体側にも責任があります。
「免許を持っているから運転させても問題ない」と安易に考えるのではなく、
・日本の交通ルールを理解しているか
・実際の運転技術に問題はないか
を確認する姿勢が求められます。事故が起きれば、本人だけでなく、雇用主や社会全体が大きな影響を受けるからです。
まとめ
今回、群馬県警が公表した実技試験通過者ゼロという結果は、多くの示唆を含んでいます。
・外免切り替えは本来、簡単な制度ではない
・日本の交通ルールは世界でも厳しい水準
・安全を最優先に考えるなら、一定の厳格化は不可欠
「厳しすぎる」のではなく、これまでが緩すぎたと見るべきでしょう。
今後、外免切り替えを希望する人は、「外国免許があるから大丈夫」という認識を改め、日本の交通社会の一員としての責任を強く意識する必要があります。
今回の結果は、そのメッセージを明確に示した出来事と言えるでしょう。




