観光大国日本崩壊へのカウントダウン ギリシャ・スペインの二の舞を踏むか…

外国人問題

[東京 20日 ロイター] – 日本政府観光局(JNTO)が20日に発表した7月の訪日外国人客数(推計値)は、前年比4.4%増の343万7000人となり、7月として過去最高を更新しました。

東アジアや欧米豪、中東地域を中心に、学校の長期休暇に合わせた訪日需要が高まり、特に中国、台湾、米国、フランスからの旅行者が大きく増えています。


国・地域別では中国が前年比25.5%増の97万4500人、米国が10.3%増の27万7100人、フランスが23.7%増の4万6200人と、それぞれ大幅に増加しました。これらを含む15市場で7月として過去最高を記録したとのことです。


今年1月から7月までの累計では2495万5400人に達し、前年比18.4%の増加となりました。数字だけを見れば「観光大国・日本」の姿が鮮明になってきたように見えます。

しかし、本当に日本が進むべき道は「観光立国」なのでしょうか。筆者はスペインに滞在した経験から、観光依存がもたらす深刻な副作用を目の当たりにしました。そして今の日本も、同じ危険な道を歩みつつあると感じます。


観光に頼った国はなぜ崩壊するのか

観光産業は一見すると外貨を稼ぎやすく、短期的に成果が見えやすい産業です。しかし長期的に見れば「産業の空洞化」「地域住民の疲弊」「治安の悪化」といった負の側面を抱えています。

スペイン・バルセロナの現実

筆者が暮らしていたバルセロナは、ヨーロッパ有数の観光都市です。サグラダ・ファミリアやガウディ建築を求めて世界中から人々が訪れます。しかし、その裏では地元住民が生活の場を失っていました。

  • 住宅価格・家賃の高騰:Airbnbなどの民泊が広がり、住宅が観光客向けに転用されました。その結果、地元住民が自分の街に住めなくなる事態が進みました。
  • 治安の悪化:観光客を狙ったスリや強盗が横行し、警察も対応に苦慮しました。
  • 雇用の不安定化:観光産業ばかりに依存することで、安定した雇用が失われ、若者は低賃金のサービス業にしか就けない状況となりました。

街は「住む人のための都市」ではなく、「観光客のための舞台」へと変質してしまったのです。

ギリシャの崩壊

ギリシャも観光立国として知られますが、2009年の金融危機で経済は崩壊寸前に陥りました。観光や公共部門への依存が大きく、産業基盤が育たなかったためです。観光収入だけでは国家を維持できず、最後には国際通貨基金(IMF)の管理下に置かれる事態となりました。

この二つの事例が示すのは、「観光だけに頼る国は長期的に持続できない」という事実です。


インバウンドに疲れた日本

日本も同じ問題を抱えつつあります。観光客数は確かに増えていますが、それによって日本人が幸せになっているかと言えば、答えは疑わしいものです。

  • ホテル乱立と地価の上昇:観光需要に合わせた宿泊施設や民泊の増加が、住民の生活コストを押し上げています。
  • 観光公害(オーバーツーリズム):京都や鎌倉では、観光客の増加で交通機関が麻痺し、地元住民が日常生活すら送りにくくなっています。
  • 治安への懸念:観光客に紛れて犯罪組織が活動するケースもあり、地域の安全が脅かされています。

実際、観光地に住む人々からは「生活の質が下がった」という声が多く聞かれます。
参考:Yahooニュース「観光公害に疲れる住民」https://news.yahoo.co.jp/articles/dc4637cd619bf3bcda6da8f9b3e6357320bd4367

観光客が増えても利益を得るのは大手ホテルや旅行会社が中心であり、地域社会に恩恵はほとんどありません。それどころか、住民にとっては迷惑のほうが大きいのです。


愚策に気付かない日本

それでも政府は「観光立国」を推進し続けています。しかし、この政策には致命的な欠陥があります。

  1. 観光は極めて不安定な産業です
    パンデミックや戦争、自然災害の影響を受けやすく、一瞬で需要がゼロになる危険性があります。コロナ禍はその典型例です。
  2. 産業の基盤を弱体化させます
    製造業や農業など、日本が本来強みを持つ分野への投資が減り、国力そのものを削いでしまいます。
  3. 文化や治安を損ないます
    観光客を優先した街づくりが進めば、日本本来の生活文化が失われ、地域の安全も犠牲になります。

にもかかわらず、政府は観光客数の増加を「成功」と捉えています。この発想そのものが、ギリシャやスペインと同じ崩壊の道へ進む愚策だと言わざるを得ません。


まとめ:観光は「副産物」であるべきです

観光は決して国の基盤ではなく、本来は「健全な経済の副産物」であるべきです。製造業や農業、科学技術といった実体経済が健全であれば、自然と観光も発展します。

しかし、今の日本は観光に依存しようとしています。このままでは「観光大国日本崩壊」のカウントダウンが始まっていると言っても過言ではありません。

ギリシャもスペインも同じ過ちを犯しました。日本はその轍を踏む必要はありません。
今こそ「観光立国」という幻想から目を覚まし、持続可能な産業と地域社会を育てる方向へ舵を切るべきです。そうしなければ、日本は「旅行者のための国」となり、日本人自身が住みにくい国になってしまいます。