【企業向け】就労ビザの要件|単純労働に注意すべきポイントをわかりやすく解説

就労ビザ

外国人を雇用したいと考える企業が増える一方で、「就労ビザの要件がよく分からない」「単純労働との線引きが曖昧で不安だ」という声は後を絶ちません。特に中小企業では、人手不足を背景に、外国人にも現場業務を含めて幅広く働いてもらいたいというニーズが強く見られます。しかし、この考え方は就労ビザの制度と正面から衝突することがあります。

本記事では、企業担当者向けに、就労ビザの中でも最も利用される「技術・人文知識・国際業務」を中心として、許可要件の考え方と単純労働との関係を整理します。実務上の判断基準を踏まえつつ、初心者の方にも理解しやすいよう、できる限り文章中心で解説していきます。

就労ビザとは何か

一般に「就労ビザ」と呼ばれるものは、法律上の正式名称ではありません。出入国管理及び難民認定法に定められた在留資格のうち、日本での就労が認められている資格を総称して、便宜的に就労ビザと呼んでいます。

企業が外国人を正社員として雇用する場合、最も多く利用されるのが「技術・人文知識・国際業務」です。この在留資格は、専門的な知識や思考力を必要とする、いわゆるホワイトカラー業務を前提としています。単に「働ける在留資格」であるという理解では、実務上のトラブルを招きやすいため注意が必要です。

技術・人文知識・国際業務の基本的な考え方

技術・人文知識・国際業務は、「学術的な知識や専門性を活用する業務」に従事する外国人を対象としています。ここで重要なのは、職種名ではなく、実際の業務内容が問われるという点です。

たとえば「営業職」という肩書きであっても、業務の実態が単なるルート配送や店頭販売であれば、専門性がないと判断される可能性があります。一方で、海外取引を前提とした契約交渉やマーケティング戦略の立案などを担う営業であれば、国際業務として評価される余地があります。

つまり、入管は「何をさせるのか」「なぜ外国人でなければならないのか」という点を重視して審査を行っています。


単純労働が原則として認められない理由

就労ビザの審査において、必ず問題となるのが単純労働です。単純労働とは、特別な知識や技能を必要とせず、一定の説明やマニュアルがあれば誰でも遂行できる業務を指します。

工場でのライン作業飲食店でのホール業務倉庫での仕分け作業などは、その代表例です。これらの業務が技術・人文知識・国際業務で認められない理由は、日本の在留資格制度が、外国人を単純な労働力として受け入れることを原則として想定していないためです。

そのため、いくら人手不足であっても、「現場が忙しいから手伝ってもらう」という発想は、就労ビザの枠組みとは相容れません。

単純作業を一切させてはいけないのか

企業担当者からよくある質問として、「少しでも単純作業が含まれていたら不許可になるのか」というものがあります。この点については、誤解が多いため注意が必要です。

実務上は、業務全体の中で何が主たる業務なのかが重視されます。専門性のある業務が中心であり、その付随的な業務として軽微な作業が含まれる程度であれば、直ちに問題視されるとは限りません。

しかし、実態として現場作業が業務の大半を占めている場合や、専門業務が名目上に過ぎない場合は、単純労働と判断されるリスクが非常に高くなります。更新申請の際に実態調査が行われ、不許可となるケースも少なくありません。

Q&A|企業担当者からよくある質問

Q
事務職として雇用し、工場の現場作業もさせた場合、不法就労になりますか
A

在留資格が「技術・人文知識・国際業務」の場合、実態として工場の現場作業が中心になっていれば、不法就労と判断される可能性があります。雇用契約書や職務内容説明書に事務業務と記載していても、実際の業務内容が単純労働であれば意味はありません。入管は書面だけでなく、業務実態を重視します。そのため「人手が足りないから一時的に現場を手伝わせた」という説明も、原則として通用しないと考えるべきです。

Q
事務職として雇い、コンビニのレジ業務をさせた場合はどうなりますか
A

コンビニのレジ業務は、特別な専門性を必要としない典型的な単純労働に該当します。そのため、技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ外国人にレジ業務を行わせた場合、不法就労と判断される可能性が非常に高いです。たとえ短時間であっても、反復継続して行っていれば問題視されます。

Q
不法就労と判断された場合、企業側に罰則はありますか
A

あります。入管法では、不法就労をさせた事業主に対し、「不法就労助長罪」が規定されています。これに該当した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。法人の場合でも、代表者個人が処罰対象となる点には注意が必要です。

Q
在留資格の内容を知らずに雇ってしまった場合でも犯罪になりますか
A

原則として、「知らなかった」という理由だけで責任を免れることはできません。企業には、雇用する外国人の在留資格と就労範囲を確認する義務があります。在留カードを確認せずに雇用した場合や、在留資格の内容を十分に理解しないまま業務に従事させた場合、不法就労助長罪が成立する可能性があります。

Q
更新時に過去の業務内容が問題になることはありますか
A

はい、十分にあり得ます。更新申請では、これまでの在留期間中にどのような業務に従事していたかが確認されます。過去に単純労働と評価される業務を行っていたことが判明した場合、更新不許可となるだけでなく、在留期間の短縮や今後の申請に悪影響を及ぼすこともあります。


就労ビザの具体的な許可要件

技術・人文知識・国際業務の許可要件は、大きく分けて三つの観点から判断されます。

第一に、外国人本人の学歴または職歴です。原則として、大学や大学院で業務に関連する分野を専攻していることが求められます。日本の専門学校を卒業している場合も、内容によっては認められますが、単に卒業していれば足りるわけではありません。重要なのは、専攻内容と業務内容との関連性です。

第二に、業務内容そのものの専門性です。入管は、職務内容説明書や雇用契約書を通じて、業務の具体性と高度性を確認します。「事務全般」「営業補助」といった抽象的な表現では、専門性が伝わらず、不利に働くことが多いです。

第三に、受入企業の安定性と継続性です。会社の規模や売上、財務状況、社会保険への加入状況なども審査対象となります。赤字決算であっても必ずしも不許可になるわけではありませんが、なぜ外国人を雇用する必要があるのかを合理的に説明できる必要があります。

よくある不許可事例と企業側の注意点

実務上よく見られる不許可事例としては、業務内容が単純労働と判断されたケース、学歴と職務内容の関連性が説明できなかったケース、会社規模に対して不自然な業務設計となっているケースなどがあります。

これらに共通しているのは、書類上の体裁は整っていても、全体としての整合性が取れていない点です。特に注意すべきなのは、「とりあえず取れそうだから申請してみる」という姿勢です。このような対応は、不許可だけでなく、将来の更新にも悪影響を及ぼします


まとめ

企業が外国人を雇用する際、就労ビザの要件、とりわけ単純労働との関係を正しく理解することは不可欠です。技術・人文知識・国際業務は、専門性を前提とした在留資格であり、現場作業要員としての活用は想定されていません。

採用前の段階で業務内容を精査し、在留資格との適合性を確認することが、最も安全で確実な方法です。安易な判断を避け、必要に応じて専門家に相談することが、結果的に企業と外国人双方を守ることにつながります。

行政書士DNR事務所では

国内の人手不足に伴い、大小問わず外国人を雇用する企業も多くなりました。特に飲食業、宿泊業においては、人手不足を契機に求人を募集した企業のうち約60%が「募集しても、応募がない」と観光庁が発表しています。

その反面、雇用する側に外国人雇用の際に知っておかなければならない情報が伝わっていない気がします。知らなくても罪になってしまう「不法就労助長罪」というものもあります。

外国人を雇用する際、特に初めての雇用にあたってはぜひ弊事務所にご相談ください。既に御社に顧問の弁護士などついていたとしてもセカンドオピニオンとして無料相談を活用してみてはいかがでしょうか?

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