近年、日本が少しずつ「無法地帯」になりつつあると感じる人は少なくないでしょう。かつて日本社会には「郷に入れば郷に従え」という共通認識があり、外国人であっても日本の文化や法律に合わせるのが当然とされていました。
しかし、急速に増え続ける外国人の中には、母国の風習や宗教的戒律を日本に持ち込み、そのまま受け入れるよう求める人々がいます。
その一例が「土葬」です。
日本では明治時代以降、衛生面や土地不足などの理由から土葬はほぼ禁止され、火葬が一般的になっています。しかしイスラム教徒(ムスリム)をはじめとする一部の民族や宗教では、土葬が信仰上の義務であり、「火葬は絶対に認められない」という考えを持っています。
果たして、日本の文化と相容れないこの風習を受け入れるべきなのでしょうか。それとも、日本社会はあくまで自らの文化と秩序を守るべきなのでしょうか。本稿では、土葬をめぐる現状と問題点、そして共存の可否について掘り下げます。
土葬を求める人々とは
土葬とは、亡くなった人を火葬せず、そのまま地中に埋葬する葬法です。世界的には決して珍しいものではなく、中東やアフリカ、南アジアなどでは今も主流です。
特にムスリムにとっては、土葬は宗教的戒律に基づく重要な儀式です。イスラム教の教えでは、亡くなった人はできるだけ早く、白布で包んで棺を使わずに地中に埋めることが望ましいとされています。遺体を焼くことは、神から授かった肉体を損なう行為とみなされ、禁忌とされます。
ムスリム以外にも、キリスト教の一部宗派、ユダヤ教徒、そして南アジア・東南アジアの一部民族も土葬を慣習としています。つまり、今後も日本に外国人が増えるにつれて、土葬の要求も確実に増えていくと考えられます。

日本における土葬の現状と法的制限
日本では、明治時代以降にコレラなどの感染症が流行したことを背景に、衛生面の理由から火葬が推奨され、次第に主流となりました。
現行法でも、墓地・埋葬に関する条例や自治体の規則で、土葬ができる場所は極めて限られています。全国的に見ても、土葬が可能な墓地は数えるほどしか存在せず、ほとんどが離島や特例的な地域に限られています。
つまり、日本国内で土葬を行うことは、事実上ほぼ不可能に近いのです。しかし、この現状を変えようとする動きも出始めています。
特に、外国人労働者や留学生の増加に伴い、イスラム教徒向けの墓地や埋葬地の新設を求める声が各地で上がっています。
筆者の部下にも土葬推進者が…
私は行政書士事務所の他に、人材紹介会社も経営しています。そこで雇用しているのは、日本で働きたい外国人の方々です。
数年前、2人のバングラデシュ出身の社員を雇ったときのこと。雑談の中で、彼らが当然のように「自分が死んだら土葬にしてほしい」と話してきたのです。
彼らにとって、土葬は「当たり前」の文化。逆に火葬は「あり得ない」行為なのです。
私は日本の法律や衛生面の理由を説明し、「日本では火葬が基本だ」と伝えました。表面的には理解してくれたようでしたが、内心では納得していなかったと思います。彼らの価値観の中では、土葬こそが正しいという意識が強く根付いているのです。
土葬が危険な理由
衛生面のリスク
土葬では、遺体が完全に分解されるまでに長い時間がかかります。その過程で、細菌やウイルスが土壌や地下水を汚染する可能性があります。特に人口密集地では、井戸水や地下水源への影響が懸念されます。
土地不足の問題
日本は国土が狭く、山間部を除けば墓地用地は限られています。火葬なら骨壺1つ分のスペースで済むのに対し、土葬は広い面積を必要とします。将来的に墓地不足を引き起こすことは目に見えています。
管理の困難さ
土葬を行う墓地では、墓穴の深さや間隔、衛生管理など多くの規制を守る必要があります。管理が不十分な場合、動物による掘り返しや、災害時の流出といった問題も起こり得ます。
文化摩擦の拡大
一度土葬を認めれば、他の宗教や民族も自分たちの葬法や風習を主張し始めます。結果的に、日本の文化や秩序が次第に形を失い、社会の統合力が低下する恐れがあります。

まとめのQ&A
- Q日本ではなぜ「土葬」がほとんど行われていないのですか?
- A
日本では、明治以降、衛生上の理由や土地の有効活用の観点から「焼葬=火葬」が主流となりました。記事にもある通り、土葬が可能な墓地は非常に限られており、実質的には「土葬は事実上ほぼ不可能」な状況です。
- Qイスラム教徒の方が日本で「土葬を希望する」理由は何ですか?
- A
イスラム教の教えでは、亡くなった方をできるだけ早く、白布で包んで棺を使わず地中に埋葬することが望ましいとされ、遺体を焼くこと(火葬)は「神から授かった肉体を損なう行為」として禁忌となる場合があります。
そのため、イスラム教徒の方が「土葬」を希望するのは、宗教的・文化的習慣に根ざしたものであり、日本の火葬中心の制度・慣行とは異なる価値観が存在します。
- Q土葬を日本で認めると、どのようなリスク・問題があるのでしょうか?
- A
衛生面のリスク、土地不足、管理の困難さ、文化摩擦の拡大などです。
- Q今後、土葬の要求が増えてくる可能性はあるのでしょうか?その場合、日本社会・行政はどう対応すべきでしょうか?
- A
はい、可能性は十分にあります。現に、外国人労働者・留学生の増加に伴い、イスラム教徒などが土葬を希望する声があがっており、墓地・埋葬地の新設を求める動きも出ています。
対応策としては現行法・条例の見直し:土葬を認める場をどう定義するか、衛生・土地・防災面からのガイドライン整備。
墓地運営・管理の基準強化:土葬を許可する場合、適切な管理体制・施設基準を設定。
社会的合意形成:文化・宗教的慣習と日本の社会制度・価値観との整合性をどう取るか、住民・自治体・宗教団体を巻き込んだ議論。
明確な線引き:どこまでの慣習を容認し、どこで「日本社会として守るべきルール」があるのかを提示すること。記事では「ここから先は譲れない」という線を明確にするべきとしている。
- Q外国人の多文化共生という観点で、「土葬を認めるべきかどうか」はどう考えたら良いでしょうか?
- A
多文化共生という語は響きが良いですが、実際には「文化・慣習の衝突」が避けられないという側面があります。記事では、「外国人が日本で暮らす以上、日本の法律と文化に従うことは当然」という立場を提示しています。
そのため、土葬を特例的に認めるということは、「どこまで文化的慣習を受け入れるのか」という線引きの議論に直結します。
重要なのは、単に「受け入れるか否か」ではなく、制度・法律・社会的な秩序との整合性を踏まえて議論を進めることです。

結びに
土葬は、日本の衛生環境や土地事情、そして文化的背景と相容れない葬法です。
1つの文化的相違を安易に受け入れれば、それが前例となり、なし崩し的に他の要求も認めざるを得なくなります。
外国人との共存を目指すのであればこそ、「ここから先は譲れない」という一線を明確に引くべきです。
「郷に入れば郷に従え」──この原則こそが、異なる文化を持つ人々が安全に暮らすための土台であり、日本社会の秩序を守る最後の砦なのです。




